欧州連合(EU)理事会は21日、人工知能(AI)に関する規制法案を承認した。これにより同法は6月に発効し、2026年から全面的に適用される。包括的な規制法としては世界初で、国際的なAI規制に影響を及ぼす可能性がある。
法案は欧州委員会が2021年に提案し、昨年末に同委とEU理事会、欧州議会が大筋合意。今年3月に欧州議会が承認していた。
法案では、AIシステムを「最小限のリスク」「高リスク」「容認できないリスク」「特定の透明性リスク」の四つに分類。容認できないリスクに含まれるシステムを一律に禁止し、高リスクのシステムには透明性で厳格な義務の順守を求める。一方、特定の透明性リスクのあるシステムでは、AIが作成したコンテンツであることの明示などを義務付け、リスクが最小限のAIシステムには特別な規制は行わない。
また汎用AIモデルについては、システミックリスクを伴うモデルには厳格な規制を適用するが、それ以外では要件を限定的にしている。
全面適用は26年だが、予測的な取り締まりに使われるシステムや防犯・監視カメラの顔画像の目的のない収集・加工にAIを利用することや、政府がデータに基づいて市民の信用を格付けする「ソーシャルスコアリング」は、発効から6カ月後に禁止される。また、汎用AIモデルに対する義務は発効から1年後に適用される。
EU域外の企業も、AIプラットフォームでEUの顧客データを使用する場合は同法への順守が必要になる。また域外の国や地域でもEUのAI規制法を元に新たな法規を策定する可能性もあり、世界的に影響が及ぶ見込みだ。[EU規制]
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