英国の郵便大手ロイヤル・メールの親会社インターナショナル・ディストリビューションズ・サービシズ(IDS)は15日、チェコの実業家ダニエル・クレティンスキー氏率いる複合企業EPグループからの新たな買収提案を受け入れる姿勢を示した。EPグループが提示額を引き上げ、IDSの企業価値を35億ポンドと評価したため。
EPグループは4月、IDSの企業価値を31億ポンドと評価し、1株当たり320ペンスでの買収案を提示したが、IDSはこれが自社を「過小評価している」として拒否していた。IDSは今回、EPグループがこれを1株当たり370ペンスに引き上げたことを受け、株主に提案受け入れを推奨する姿勢を示している。
IDSによると、クレティンスキー氏はロイヤル・メールが英国の国家インフラに果たす役割を考慮し、公共利益の保護に向けた一連の契約を守ることに同意した。これには、ファーストクラスの郵便物について週6日の配達を続けることや、従業員の権利および「ロイヤル・メール」ブランドの保護、本社を英国内に置き続けることなどが含まれる。
EPグループはすでにIDSの株式27.6%を保有している。同社は5月29日午後5時(英国時間)までに、正式な買収提案を行うかどうか決める必要がある。英国の重要インフラの一部が外国資本の手に渡るとなれば、国内で反発の声が上がる可能性も高く、政府は対応を迫られることになる。
通信労働組合(CWU)は「EPグループは労組との率直でオープンな協力姿勢をただちに示すべきだ」と声明を出している。フィナンシャル・タイムズによると、CWUのデーブ・ワード書記長は、労働条件や全国に一律料金で郵便を配達する「ユニバーサルサービス」を守り、事業分割を避けるために、必要ならストライキも辞さないとの考えを示している。[労務]
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