英国内の深刻な医薬品不足は、ブレグジットが原因――。同国の医療系シンクタンク、ナフィールド・トラスト(Nuffield Trust)が18日、こうした調査結果を発表した。欧州連合(EU)離脱は医薬品のサプライチェーン(供給網)に大きな影響を与え、医薬品不足の報告件数は2020年から2倍以上に拡大しているという。
それによると、国内製薬会社が「切迫した」医薬品不足を通知した件数は23年に1,643件を記録。EU離脱1年目となった20年の648件から大幅に増加。ブレグジット以降、抗生物質やてんかん治療薬といった重要度の高い治療薬を含め、医薬品不足が常態化している状況だという。
政府は、国民保険制度(NHS)の標準より高い価格で医薬品を購入した際に差額分を補填(ほてん)する制度を設けている。こうした「価格譲歩」を行う回数は、16年以前は1カ月当たり最大で20回程度だったが、22年後半には同199回まで増加。現在も高止まりしている状況で、拠出額は23年9月までの1年間で2億2,000万ポンドに上った。
ナフィールド・トラストは「ブレグジットが医薬品サプライチェーンの根本的な脆弱(ぜいじゃく)性を悪化させた」と指摘。サプライチェーン問題は英国だけでなく世界的なものだとしつつも、税関検査や、欧州医薬品庁(EMA)からの離脱に伴う承認に関する規制面での変化が、大きな影響を及ぼしていると述べている。
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