ドイツの鉄鋼・エンジニアリング大手ティッセンクルップは11日、不振が続く鉄鋼部門の大規模な再編計画を発表した。年産能力を22%縮小し900万~950万トンとする。これに伴い、大幅な人員削減が行われる見込みだ。同社は長期的な雇用維持に向けて努力するとしているが、今後、今回の計画以上の減産や整理が行われる可能性もある。
同社はこの日開催した監査役会で、鉄鋼の生産量を現在の年間約1,150万トンから大きく引き下げると発表。現時点で人員削減の具体的な人数は明らかにしていないが、欧州で雇用する約2万7,000人の大半がドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州のデュイスブルク(Duisburg)製鉄所を中心とする鉄鋼部門で働いているため、相当数に影響が及ぶとされる。
ティッセンクルップは今回の再編計画について、「世界の鉄鋼産業は需要の落ち込みにより低迷が続いており、現在の経済情勢に対応するための判断」だと説明。人員整理は鉄鋼部門に限らず、管理部門やサービス部門にも波及する可能性があるとしている。
ティッセンクルップは労働組合と、2026年3月までは鉄鋼部門で人員整理をしない取り決めを結んでいる。だが国内最大労組の金属産業労組IGメタルは今年2月、組合員に対し「最悪の事態」に備えるよう呼びかけていた。今後はティッセンクルップとIGメタルの間で、リストラ計画を巡る議論が進められる見込みだ。[労務]
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