英国の国債管理庁(DMO)は6日、2024/25年度に総額2,653億ポンドの国債発行を計画していると明らかにした。発行額は今年度の約2,323億ポンドを上回り、新型コロナ対策で過去最高となった20/21年度の4,860億ポンドに次ぐ水準となる見通し。ただ、これまでの国債発行の大半を占めた長期債は需要の減退傾向を背景に減らし、短期債を中心とする計画だ。
新年度の国債発行計画は、ハント財務相がこの日に発表した予算案に基づくもの。政府は予算案で、公的債務残高は現在の2兆4,000億ポンドから28/29年度には3兆ポンドに拡大するとの予測を示した。
来年度の国債発行額を償還期間別に見ると、短期債が953億ポンドで最も多く、これに中期債(821億ポンド)と長期債(490億ポンド)が続く。
ロイター通信によると、DMOトップのロバート・スティーマン氏はこれについて、「長期債の需要が徐々にだが目に見えて減っていることを考慮した」と説明。英国にとって、長期債の価値が短・中期債と比べてやや低下しているとの考えを示した。
長期債の需要が低下している背景には、トラス政権が22年の補正予算案で財源の裏打ちのない大型減税を打ち出したことを受け、国債市場が不安定化したことがある。国内の年金基金はこれにより、運用資産価値が24%縮小。特に、長期債に多く投資する基金が影響を被っている。スティーマン氏は、長期債の需要減退傾向は今後、長期的に続くとみている。
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