英郵便大手ロイヤル・メール傘下ポスト・オフィスの郵便局長らの冤罪(えんざい)事件を巡り、富士通の英国法人の元トップは、事件の原因となった会計システム「ホライゾン」の安全性は「万全」とポスト・オフィスに説明していたことを認めた。BBC電子版が23日伝えた。
ポスト・オフィスは、2000~14年にホライズンのシステム上の金銭不足を理由に、900人超の郵便局長らを窃盗などで起訴した際、システム上の金額を操作できるのは本人だけと主張していた。事件当時にポスト・オフィスの最高経営責任者(CEO)を務めたポーラ・ベネルズ氏は20年に下院委員会で、「富士通のCEOから、同システムは(厳重な保護で知られる米国の金塊保管庫)フォートノックスのようなものだと聞いている」と証言したが、その後に郵便局アカウントの遠隔操作が可能だったことが発覚していた。
11~14年に富士通英法人のCEOを務めたダンカン・テイト氏は今回、英公共放送BBC宛ての声明で、ベネルズ氏にこうした説明をしていたことを認めた。ただ、「この発言は郵便局アカウントへの遠隔アクセスに関するものではない」としている。
この事件を巡っては当初、ポスト・オフィスやベネルズ氏が糾弾されていたが、今年に入りこの事件を扱ったテレビドラマが話題となってからは、富士通の責任を問う声も強まっている。同社の英国法人のポール・パターソン現CEOは16日に下院委員会で、同システムにバグやエラーがあったことや遠隔操作が可能だったことをあらためて認め、富士通には被害者への補償を負担する道徳的責任があるとの考えを示している。[日本企業の動向]
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