シンクタンクのレゾリューション財団は5日、過去2年の政策金利の上昇により、英国民が預金利息から得た純収入が160億ポンド拡大したとの調査結果を発表した。英国での利上げ局面は1980年代からこれまでに4回あったが、過去に例がないほどの伸びだという。
英中銀イングランド銀行が金融引き締めを始めた2021年第4四半期(10~12月)から23年第3四半期の間に、年間利子所得は340億ポンド増加した。一方で、ローンなどの金利の支払いは180億ポンドの拡大にとどまり、差し引きでは160億ポンドのプラスとなっている。
一般的には、政策金利が上昇すれば個人融資の金利も上がって家計を圧迫する。ただ、英国では住宅ローンの借り手の多くが固定金利を選んでいたことや、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴うロックダウン(都市封鎖)を背景に総貯蓄額が約2,000億ポンド増えていたことから、預金利息による収入が利子の支払いを上回った。
ただ、今年に利下げが始まれば、拡大分の恩恵はほぼなくなると見込まれる。
中銀は21年12月、政策金利を史上最低の0.1%から0.15ポイント引き上げ、0.25%とすることを決めた。18年8月以来、3年4カ月ぶりの利上げとなった。その後は23年8月まで14会合連続で利上げを続け、政策金利は5.25%に達している。
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