欧州連合(EU)理事会と欧州議会は18日、EUの新たな排ガス規制「ユーロ7」案で暫定合意した。ブレーキやタイヤの摩擦による大気汚染物質の排出を初めて規制する一方、乗用車と小型商用車については、現行の「ユーロ6」の排出基準や試験条件を維持している。
バスや大型トラックについては、排出基準と試験条件をユーロ6より厳格化する。乗用車と小型商用車では欧州議会の主張により、測定対象となる粒子状物質(PM)の対象を拡大し、現行のPM23に加えてより粒径の小さいPM10も規制する。
ブレーキやタイヤの摩擦による排出については、走行距離1キロメートル当たりのPM10の粒子数に上限を設定する。これらの排出による大気汚染は電気自動車(EV)への転換後も続くため、基準の設定が課題となっていた。
今回、合意したユーロ7案は、EU理事会と欧州議会での正式な承認を経て発効し、乗用車・小型商用車には30カ月後から、大型車には48カ月後から適用される。
欧州委員会が昨年11月に提案した当初のユーロ7案は、乗用車・小型商用車の排出基準を厳格化する内容だった。しかし、自動車業界は、内燃エンジン(ICE)車の改良への投資を強いられれば自動車の電動化が遅れるほか、新車の開発コストが上昇し、販売価格にもこれが反映されるとして猛反発していた。
欧州自動車工業会(ACEA)は今回の合意を歓迎した上で、「排ガスによる排出量はユーロ6までに90%削減されている」と指摘。「今後の大気汚染改善に向けては、旧式車両の買い替えと急速な電動化が最も効果的」としている。一方、ベルギーの環境団体トランスポート&エンバイロメント(T&E)は、「ユーロ7は従来通りの車のグリーンウォッシュにつながる」と指摘。「排ガス不正後に鳴りを潜めていた自動車産業のロビー活動が再開された」と批判している。[環境ニュース][EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。