英国の製薬大手アストラゼネカは12日、ワクチン開発の米アイコサバックス(Icosavax)を買収することで合意したと発表した。取引金額は最大で11億ドルに上る。これにより、アストラゼネカは呼吸器系ウイルスのワクチンを強化する。
アストラゼネカは、全株式の買収に向け公開買い付けを開始する。条件は1株当たり15ドルと、11日終値に43%のプレミアムを上乗せした水準。一定の規制上および販売上のマイルストーンを達成した場合には、1株当たり最大5ドルの現金を支払う不確定価額受領権(CVR)も付与する。
アイコサバックスは、ウイルス様粒子(VLP)プラットフォーム技術を用いて、感染症に対するワクチンを開発している。呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症とヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症を標的とする混合ワクチン候補「IVX―A12」も開発中で、第2相臨床試験では両ウイルスに対する強固な免疫応答が示され、第3相臨床試験の準備も完了した。同社は2021年に米ナスダック市場に上場している。
アストラゼネカはVLPワクチンについて、自然界に存在するウイルスが体内の免疫系にどのように作用するかを模倣しているため、従来のワクチンに比べて強い免疫応答と広い防御範囲、長い持続性があるうえ、副反応の発生率も低いと説明している。
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