英競争・市場局(CMA)は8日、米マイクロソフト(MS)と対話型人工知能(AI)チャットボット「チャットGPT」を手がける米新興企業オープンAIとの提携を巡る調査に着手した。両社の提携がAI市場の競争に及ぼす影響について来年1月3日まで意見を公募した上で、本格調査を開始するかどうかを決める。
CMAは、MSがオープンAIに今後数年に数十億ドルの投資を計画していることや、両社が技術開発で協業していること、MSがオープンAIにクラウドサービスを独占供給していることなどについて、「基盤モデルや関連市場で重要な活動を展開する2社が、多様な面で緊密な関係を築くことになる」と指摘。これが「基盤モデルの開発や利用における競争を弱体化させる恐れがある」との見方を示している。
また、オープンAIを巡っては11月、創業者のサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が理事会によって突然解任される騒動が起きた。理由は明らかにされていないが、同社に49%を出資するMSは即座に、同氏を新設のAI研究部門のトップとして受け入れることを決めた。結局、従業員の約9割がアルトマン氏の復帰を求めたこともあり、同氏はオープンAIに復帰した。理事会のメンバーは一新され、MSからも議決権を持たないオブザーバーとして1人が参加することになった。
CMAは今回、この結果としてMSがオープンAIの支配権を確保し、「企業統合状態」となった可能性があると指摘。こうした展開も考慮した上で、意見公募の実施を決めたとしている。
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