サウジアラビア政府系基金パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は29日、ロンドン・ヒースロー空港を運営するヒースロー・エアポートの株式10%を取得することで合意したと発表した。スペインの建設大手フェロビアルの保有株25%のうち10%を約10億ポンドで買い取る。
フェロビアルの残り株15%は、フランスの投資会社アーディアン(Ardian)が取得することが決まっている。フェロビアルによると、25%の売却額は24億ポンド。取引の完了には当局の承認が必要となる。
フェロビアルは2006年にBAA(現ヒースロー・エアポート)の株式55.87%を取得したが、その後は徐々に出資比率を引き下げていた。今回の売却で、17年にわたる出資から手を引くことになる。
ヒースロー・エアポートにはカタール投資庁(QIA)も20%を出資しており、PIFの参入により中東系資本が3割に達する。他には、カナダのケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ、12.6%)、シンガポール政府系投資会社GIC(11.2%)、オーストラリアン・リタイアメント・トラスト(ART、11.2%)、中国政府系ファンドの中国投資(CIC、10%)、英大学退職年金基金(USS、10%)などが、同社の株式を保有する。
ヒースロー・エアポートはコロナ禍以降、3年連続で赤字を計上。また、航空業界の圧力で英民間航空局(CAA)から空港使用料の大幅な引き下げを命じられている。
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