英中銀イングランド銀行は27日、銀行の自己資本規制「バーゼル3」の最終規則の国内での適用開始を半年延期し、2025年7月からとすると発表した。銀行の事前準備を支援するためとしている。
同時に移行期間は予定より半年短縮して4年半とする方針で、これにより、完全実施は従来の計画通り30年1月1日からとなる。
バーゼル3はバーゼル銀行監視委員会(BCBS)が定める国際的な統一基準で、2007年の世界金融危機を受けて、17年に最終規則が策定された。ただ、銀行は自己資本比率を一段と引き上げることが必要で、利益率が圧縮されることになるだけに、導入は遅れている。米国も適用開始を25年7月に延期したほか、欧州連合(EU)は段階的に適用する方針で、大半の銀行が事実上、適用を免除されている。
■保険業界の資本規制を改革
イングランド銀の下部組織であるプルーデンス規制機構(PRA)は28日、保険会社の自己資本規制「ソルベンシー2」の改革案を公表した。保険会社の国内投資を拡大する狙いがある。
同規制はEUから引き継いだもので、政府内のEU離脱派や保険業界から見直しを求める声が上がっていた。改革案では、保険会社が保有資産の投資利益によって長期的な保険金支払いを確実に行うための「マッチング調整」などが打ち出された。
PRAは今回の案について、2024年1月5日まで意見公募を実施。同年第2四半期(4~6)に最終案を公表する計画だ。
■銀行の「リングフェンス規制」見直し
PRAは28日、銀行のリテール(小口金融)部門とリスクの高い投資銀行部門を分離する「リングフェンス規制」の見直し案も公表した。リテール業務を主力とする小規模な金融機関は対象外とする。EU離脱の恩恵を生かした規制緩和により、ロンドンの金融拠点としての地位を維持する狙いがある。
見直し案では、リングフェンス規制の適用対象となる銀行の資産規模が、従来の250億ポンド以上から350億ポンド以上に引き上げられた。この案についての意見公募は、11月27日までを予定する。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。