英国の小売大手ウィルコ(Wilko)は10日、管財人の管理下に入ったと発表した。破綻回避に向け緊急資金の確保に動いたが、失敗に終わった。当面は、店舗営業を継続する方針を示している。
同社のマーク・ジャクソン最高経営責任者(CEO)は、資本増強に向けた提案はあったが必要な期間内に取引が完了する確証はなく、手元流動性を考慮すると管財人の管理下に入るしかなかったと説明した。管財人と共に、可能な限りの雇用を守るため最善を尽くすという。
管財人を務める大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は今後、ウィルコの店舗やブランドの買い手探しなどを進める見通し。
ウィルコは1930年の創業。国内に400店舗を構え、1万2,000人を雇用している。家庭用品や園芸用品などを広く扱い、年間売上高は12億ポンドに上る。
英国で店舗を展開する小売企業は、インフレやサプライチェーン(供給網)の混乱により打撃を受けている。ウィルコは資金繰りの悪化を受け、英投資会社ヒルコ(Hilco)・キャピタルから4,000万ポンドを借り受けたほか、人員整理や経営陣入れ替え、物流拠点の売却などを進めてきた。3日には管財人を指名する意向を通知し、資金確保のため10営業日の猶予を与えられていた。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。