ロンドンのカーン市長は28日、大気汚染対策「超低排出区域(ULEZ)」の対象区域の拡大について、予定通り8月29日から実施すると発表した。区域の拡大を巡っては、新たに対象に含まれる五つの自治体が訴訟を起こしていたが、訴えが棄却されたため。これにより、ULEZの対象地域は約2倍に拡大することになる。
訴えを起こしたのは、ロンドン特別区のベクスリー(Bexley)、ブロムリー(Bromley)、ハーロウ(Harrow)、ヒリンドン(Hillingdon)、およびサリー(Surrey)州の五つの自治体。原告は、ULEZの拡大は意見公募の結果が十分に反映されておらず、市長の越権行為に当たると主張していた。
カーン市長は今回、訴訟にかかった費用は推定で100万ポンドを超えており、この金額で学校給食35万食分以上を賄うことができたと批判した。また、ロンドンでは年間約4,000人が大気汚染が原因で死亡しており、中でも郊外での汚染物質の量は世界保健機関(WHO)が定めるガイドラインを上回っていると指摘。大気汚染対策を加速させる必要性を強調している。
ULEZは2019年4月に導入され、一定の排ガス基準を満たさない車両が区域内に乗り入れる場合、1日当たり12.5ポンドの特別通行料が課される。ロンドン市によると、ULEZの導入により二酸化炭素(CO2)の排出量は年間約80万トン減ったほか、ロンドン中心部では大気中の窒素酸化物(NOx)の量が46%減少した。[環境ニュース]
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