英中銀イングランド銀行は12日、国内の主要8行を対象とした最新のストレステスト(健全性審査)の結果を公表した。現時点では、8行すべてが資本を強化する必要はないとしている。現在の経済環境よりはるかに厳しい環境を想定したシナリオでも国内の銀行システムには耐性があり、企業や一般世帯を支える体制が整っていると評価した。
今回のテストでは、国内についてはインフレ率が3年続けて11%前後となり、国内総生産(GDP)が5%縮小するシナリオを想定。失業率は8.5%に上昇し、住宅価格は31%下落すると仮定した。同時に、世界全体のGDPの2.5%縮小、インフレ率と金利の上昇、資産価格の急落を織り込んでいる。
このシナリオでは、対象となった8行で5年間に総額1,250億ポンドの貸し倒れが生じるほか、「バーゼル3」全面適用時の普通株等ティア1レシオ(自己資本比率)は全体で14.2%から10.8%にまで低下することが判明した。ただ、それでも最低基準の6.9%は大きく上回るほか、最低基準を下回る銀行もないという。
ティア1レシオを個別に見ると、最も健全性が高いのは住宅金融大手ネーションワイド・ビルディング・ソサエティーで、24.6%から20.4%に低下。一方、最下位はバークレイズで、13.6%から8.5%に下がるとの結果が出た。
中銀は現在の銀行の状況についても言及。金利が大きく上昇したことで利ざやも全体として増えているため、銀行の利益率は押し上げられているが、金利の上昇は資産の市場評価額を低下させるためリスクをもたらす可能性があると指摘する。
なお、中銀は米国で地方銀行が相次いで破綻したことを踏まえ、財務省と共同で、中小の金融機関に対する破綻処理制度の見直しを行っていることを明らかにしている。
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