欧州自動車工業会(ACEA)は23日、欧州連合(EU)の新たな排ガス規制「ユーロ7」が導入されれば、直接的な追加コストは欧州委員会の見通しの4~10倍に達するとの最新調査を明らかにした。この結果、消費者向けの販売価格も大幅に上昇すると指摘。「ユーロ7」は環境面の効果よりも経済的打撃が大きいと訴えている。
この調査は、ACEAの委託によりコンサルタント会社フロンティア・エコノミクスがまとめたもの。それによると、欧州委の「ユーロ7」案が導入された場合、車両1台当たりの製造費用は乗用車・小型商用車で約2,000ユーロ、トラック・バスでは1万2,000ユーロ近く上昇する。その大部分は、開発や設備投資のコストが占めるという。
欧州委は昨年11月に「ユーロ7」案を公表した際、1台当たりの追加コストは乗用車・小型商用車で180~450ユーロ、トラック・バスで2,800ユーロと試算していた。
ACEAのシグリッド・デ・フリース事務局長は、欧州の自動車産業は排ガス削減に真摯(しんし)に取り組んでいるとした上で、「ユーロ7案は、環境改善への影響が極めて小さい一方で、コストへの打撃は極めて大きく、排ガス規制の妥当な方法ではない」と主張。現行の「ユーロ6」下で車両の電化を進めるべきと訴えている。
■EU8カ国が批判
チェコをはじめとするEU加盟8カ国は、「ユーロ7」案に反対する文書をEU理事会と欧州委に送付したもようだ。同案の求める排ガス水準や電化ペースは、自動車産業に不当な負担を強いると批判し、見直しを求めている。EU政策専門サイトのユーラクティブが23日伝えた。
この文書はチェコが中心となってまとめ、フランス、イタリア、ポーランド、ハンガリー、スロバキア、ルーマニア、ブルガリアも署名。チェコのクプカ運輸相は、賛同する加盟国はさらに増えるとの見方を示している。[環境ニュース][EU規制]
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