英国政府は19日、新たな半導体戦略を発表した。国内半導体産業の成長に向け、向こう10年に10億ポンドを投資する。中でも、同国が強みとする半導体の設計や研究開発(R&D)、化合物半導体に力点を置く。このうち2億ポンドは、2023~25年に拠出される。
政府は英国の半導体産業が戦略的優位性をもつ分野として、半導体設計と、最先端の化合物半導体、国内大学を中心とした世界有数のR&D環境を挙げている。新戦略ではこれらの分野に注力する方針。
英国は、ソフトバンクグループ傘下の英半導体チップ設計大手アーム・ホールディングスを擁するほか、ウェールズでは化合物半導体製造の世界的大手IQEなどが半導体企業の集積地を形成している。化合物半導体は従来のシリコン半導体と異なり、複数の元素で構成されるもので、第5世代(5G)通信機器や電気自動車(EV)に用いられる。
今回の新戦略では、供給網の混乱リスクの緩和や、国家安全保障の保護も柱とする。
スナク首相はこの前日、広島での岸田首相との会談で「半導体パートナーシップ」を締結し、供給網の強化やR&Dに共同で取り組むことで合意していた。
フィナンシャル・タイムズによると、英国が半導体戦略を打ち出すのは1980年代以降で初めて。半導体の重要性が高まる中、米国は国内生産拡大に向け520億ドルの支援策を打ち出しているほか、欧州連合(EU)も「欧州半導体法」で430億ユーロの投資を確保するとしている。
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