英国の大手会計事務所アーンスト&ヤング(EY)は、監査事業とコンサルティング事業を分割する計画をとりやめた。内部からの反発が強かったため。同社を含む4大会計事務所を巡ってはかねて、監査とコンサルティングの兼業による利益相反への懸念が指摘されており、EYは他社に先駆けてこれに対処する計画だった。BBC電子版が12日伝えた。
EYは2021年5月、コンサルティング業務を手がけるグローバル・アドバイザリー事業を新規株式公開(IPO)または一部株式の売却により分離する計画の検討に着手。その後、英米および欧州の当局がそれぞれ監査とコンサルティングの兼業に対する懸念を表明したことを受け、22年9月に同事業の上場計画を正式に公表していた。
EYは今回、内部メモで「コンサルティングと監査の両方の部門に必要な競争力をもたらす深い専門知識を共有する業務を切り離すことには困難が伴うことがわかった」と説明。また「事業分割への準備に必要な投資には、より多くの時間を要することも認識した」としている。フィナンシャル・タイムズによると、事業分割には米国の幹部らが強く反対していた。
EYはこの事業分割計画に数億ドルを投じ、2,000人超の人員を投入していた。計画が実現すれば、会計監査業界では過去20年間で最大規模の改革となるはずだった。
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