欧州連合(EU)理事会は28日、2035年までにEU域内で販売される乗用車および小型商用車(LCV)の新車を原則的に全てゼロエミッション車(ZEV)とする法案を承認した。合成燃料「eフューエル」のみで走行する内燃エンジン(ICE)車の販売を特例として認める措置を取ることで、反対していたドイツが賛成に回った。
同法案は、30年までに新車の二酸化炭素(CO2)排出量の平均値を乗用車では対21年比で55%、LCVでは同50%減らし、35年までに100%削減することを義務付けるもの。同年以降は事実上、ガソリン・ディーゼル車などのICE車に加え、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の新車も販売できなくなる。
そのため、大規模な自動車産業を抱えるドイツやイタリアはこれに反対し、先には、両国にポーランド、ハンガリー、チェコ、ルーマニア、スロベニアを加えた7カ国がeフューエルを使用するICE車を特例とすることを提案。これを受け欧州委員会は、CO2とグリーン水素から生産され、排出量実質ゼロと見なされるeフューエルのみで走行するICE車の販売を特例として認める措置を取ることで、ドイツと合意した。
ただし、eフューエルと共にバイオ燃料も特例とすることを望んでいたイタリアに加え、ブルガリアとルーマニアは今回の投票を棄権。ポーランドは反対票を投じた。
欧州委は21年7月にこの法案を公表。23年2月に欧州議会で可決されたものの、ドイツなどの反対で承認のめどが立たなくなったことで、EU理事会は3月7日に予定していた採決を延期した。今後は官報掲載を経て、正式に発効する。[EU規制][環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。