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C・スイス、UBSが買収 市場の混乱食い止め=政府が主導

スイスの金融大手UBSは19日、同業クレディ・スイスを買収することで合意したと発表した。市場の混乱を食い止めるため、スイス政府と中銀のスイス国立銀行(SNB)、連邦金融市場監督機構(FINMA)が交渉を主導し、週明けに豪州と東アジアの市場が開く前に合意にこぎ着けた。

UBSはクレディ・スイスの株主に、クレディ・スイス株22.48株当たりUBS株1株を割り当てる。これはクレディ・スイス株の17日終値に対して4割程度の水準で、総額では30億スイスフラン(32億4,000万ドル)となる。

一方、買収に伴って発生する損失に対しては、スイス政府がUBSに最大90億スイスフランの保証を提供する。ただ、この保証はUBSの損失が50億スイスフランを超えた場合にのみ適用される。また、政府は緊急条例により、株主の承認がなくても取引を完了させることを認めた。ベルセ大統領は「国際金融の安定性のための措置」と強調している。

さらに、SNBは両行に最大で1,000億スイスフランの流動性の支援枠を提供する。SNBは今回の買収について、「異例な状況で金融の安定を確保し、スイス経済を保護するための解決策」と説明した。

UBSのケレハー会長は、今回の買収はUBSの株主にとって「魅力的なもの」だが、同時に「緊急の救済措置」でもあると指摘。買収によりUBSの投資資産は総額で5兆ドルを超えるものの、最大で54億ドルの損失を引き受けることになる。また、クレディ・スイスの投資銀行部門は整理する予定で、2027年までに年間80億ドル以上のコスト削減を見込む。

20日の市場では、クレディ・スイス株は前日終値から60%を超える下落となり、UBSとの取引条件の評価額を下回った。UBS株も大きく下落している。

■日欧米の6中銀、ドル供給強化で協調

米連邦準備制度理事会(FRB)など日欧米の6中銀は19日、UBSのクレディ・スイス買収合意の発表直後に、協調して米ドルの供給を強化することを決めた。米シリコンバレーバンク(SVB)の破綻に始まった市場での金融不安の拡大に歯止めをかける狙いがある。FRBのほか、欧州中央銀行(ECB)、日本銀行、英イングランド銀行、カナダ銀行、SNBが参加する。

ECBのラガルド総裁はスイス当局の迅速な行動を歓迎するとともに、「ユーロ圏の銀行は強固な資本と流動性を備えている」と述べ、市場の沈静化を図った。イングランド銀もスイス当局の対応を歓迎した上で、「英国の金融システムには十分な資本と資金があり、安全で健全な状態を保っている」としている。


関連国・地域: 英国EUスイスアジア米国
関連業種: 金融マクロ・統計・その他経済

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