英国政府は16日、量子コンピューター産業の開発に向こう10年に25億ポンドを投資すると発表した。英国を科学技術大国に発展させる計画の一環で、国内スタートアップ企業の育成や実用化の促進に取り組む。
政府は2014年に立ち上げた「国家量子技術プログラム」を通じて、これまでに10億ポンドを投資してきた。政府は今回、新たに「国家量子戦略」を策定し、向こう10年で従来の2倍超に当たる25億ポンドを投じるとしている。
同戦略では、研究開発(R&D)とスキル開発の支援、国内スタートアップ企業の育成と国外からの企業誘致、量子技術の実用化の促進、規制環境の整備を4本の柱とする。技術の実用化に向けた試験などでは、英イングランド中部オックスフォードシャー州の国立量子コンピューティングセンター(NQCC)が中心的役割を果たす。
量子コンピューターは、創薬や金融、先進製造業など幅広い分野で役立つことが期待されており、企業からの需要が高まっている。ただフィナンシャル・タイムズによると、実用化に向けてはまだエラーの修正方法といった技術的問題が残る。世界では米国と中国が量子コンピューター分野を支配するが、欧州では英国のスタートアップ企業数が39社と、2位のドイツ(18社)を大きく引き離し首位に立っている。
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