欧州中央銀行(ECB)は16日に開いた政策理事会で、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を0.5ポイント引き上げ、3.5%とすることを決めた。中銀預入金利も0.5ポイント引き上げ、3%としている。市場の混乱で世界的な金融不安が高まっている中、インフレ抑制を堅持する姿勢を示した。
ECBは2月の会合で、次回に0.5ポイントの利上げを行うと予告していた。今回の決定については、経済・金融データや基礎インフレの動向などに照らし、インフレ見通しを評価したものと指摘。ラガルド総裁も会合後の記者会見で、「不確実性が高まることで、データに基づく政策金利の決定の重要性が強まっている」と述べている。
現在の市場の状況についてECBは、「注意深く監視しており、物価と金融の安定を保つため必要に応じて対応する用意がある」として、ユーロ圏の金融システムに流動性支援を提供する手段があることを強調している。
インフレ見通しについては、今年の平均インフレ率を5.3%と昨年12月時点の6.3%から引き下げた。来年も3.4%から2.9%に修正し、2025年は2.1%と予想する。一方、エネルギーと食品を除くコアインフレ率の見通しは今年が4.6%と引き上げており、さらなる金融引き締めの可能性を示している。
域内総生産(GDP)については、エネルギー価格の低下と経済の回復力の高まりから今年の見通しを1%と上方修正した。24年と25年はいずれも1.6%とさらに持ち直すとみているものの、金融引き締めの影響を理由に前回の予想から引き下げている。
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