英政府は8日、データ保護を巡る新たな法案を公表した。欧州連合(EU)の「一般データ保護規則(GDPR)」に基づく既存のデータ保護法を置き換えるもので、法規への順守方法に柔軟性を持たせるなど企業負担が減り、今後10年間で47億ポンドの節減になるとしている。
新法案ではGDPRの要素を取り入れながら順守方法を簡素化するとともに、法令順守を証明するために提出を求める書類を減らすことで、中小企業を中心に負担を軽減する。一方で、EUとのデータ取り扱いの十分性は維持されるため、現行のデータ保護規制に準拠している企業であれば、余分な費用をかけずに国際的な取引ができる。
人工知能(AI)のような自動化された意思決定については、強固な保護措置が適用される状況を明確にする。これにより、AI技術の使用に対する信頼を高める考え。ポップアップウィンドウの数の削減、迷惑電話や迷惑メールに対する罰金の引き上げ、安全なデジタル認証サービスの枠組といった内容も盛り込まれた。
政府は昨年夏に同法案を公表したが、産業界やデータ専門家と協力して法案を練り直すため、9月に法案提出に向けた手続きを一旦中止していた。ドネラン・デジタル・文化・メディア・スポーツ相は今回、「企業と共同で取り組んだことで、制度が英国独自のニーズや習慣に合ったものになった」と述べている。
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