欧州連合(EU)理事会は、2035年までにEU域内で販売される乗用車および小型商用車(LCV)の新車を全てゼロエミッション車(ZEV)とする法案について、7日に予定されていた採決を延期する。EU閣僚理事会の下部組織である常駐代表委員会(COREPER)のホルムベリ報道官が3日発表した。ドイツなどが反対姿勢を示していることを受けた措置とみられる。
ホルムベリ氏は今回、COREPERは適切な時期にこの議題に戻ると説明。具体的な採決の延期日程は明らかにしなかった。
同法案を巡っては先に、リベラル派の自由民主党(FDP)に所属するドイツのウィッシング運輸・デジタル相が、合成燃料「eフューエル」のみで走行する内燃エンジン(ICE)車を特例として認めない限り、支持しないと表明。ただし、連立政権内でも、環境政党・緑の党は昨年末に合意された現行案を支持すべきだとしている。
この法案にはドイツのほか、イタリアとポーランド、ブルガリアが反対または棄権の方針を表明。EU理事会での承認には、EU人口の65%以上を代表する加盟15カ国以上の同意が必要となるが、この4カ国が不支持に回ればこの要件を満たせなくなる。
同法案は、新車の二酸化炭素(CO2)排出量の平均値を乗用車では対21年比で55%、LCVでは同50%減らし、35年までに100%削減することを義務付けるもの。同年以降は事実上、ガソリン・ディーゼル車などのICE車に加え、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の新車も販売できなくなる。
欧州委員会は21年7月にこの法案を公表。22年10月には欧州委と欧州議会、EU理事会の三者間で最終法案を巡る合意がまとまり、先には欧州議会で可決された。[EU規制][環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。