ドイツとイタリアは2月28日、2035年までに欧州連合(EU)域内で販売される乗用車および小型商用車(LCV)の新車を全てゼロエミッション車(ZEV)とする法案を巡り、現行案のままでは支持しない意向を明らかにした。ポーランドとブルガリアも反対姿勢を示し、法案成立に暗雲が垂れ込めている。
この法案は、新車の二酸化炭素(CO2)排出量の平均値を乗用車では対21年比で55%、LCVでは同50%減らし、35年までに100%削減することを義務付けるもの。同年以降は事実上、ガソリン・ディーゼル車などの内燃エンジン(ICE)車に加え、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の新車も販売できなくなる。
ドイツのウィッシング運輸・デジタル相は今回、合成燃料「eフューエル」のみで走行するICE車の新車登録が許可されない限り、法案を支持しないと表明。同国が支持に回れるよう、欧州委員会に対し拘束力のある対応を求めている。
一方、イタリアの環境・エネルギー安全保障省は、移行期において、電気自動車(EV)をゼロ排出達成に向けた唯一の手段とすべきでないと指摘。環境目標は、雇用と生産への悪影響を避ける必要があるとしている。
なお、ポーランドも既に反対姿勢を表明。ブルガリアは棄権する方針を明らかにしている。
この法案は先に欧州議会で可決され、EU理事会の採決は3月7日に予定されている。EU理事会での承認には、EU人口の65%以上を代表する加盟15カ国以上の同意が必要となる。[EU規制][環境ニュース]
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