欧州委員会は14日、欧州連合(EU)域内で販売される大型車両の新車の二酸化炭素(CO2)排出量を2040年までに19年比で90%削減する目標を提案した。50年までにCO2排出量を実質ゼロ化する目標の達成に向けた措置。市内バスに限っては、30年までに全てをゼロエミッション車(ZEV)とすることを義務付けている。
EUは昨年10月、35年までに域内で販売される乗用車および小型商用車の新車を全てZEVとすることで合意。これにより、ガソリン車やディーゼル車など内燃エンジン(ICE)車の新車は事実上、販売が禁止されることになったが、この規制ではバスやトラックなどの大型車両は対象に含まれていなかった。
欧州委は今回、大型車両のCO2排出量について、30年までの目標も厳格化した。現行目標では19年比で30%の削減を求めているが、これを45%減とする。35年までの目標は65%減とした。
40年までの目標が90%減にとどまり、市内バスを除きゼロ排出の義務付けに踏み込まなかったことを受け、少なくとも同年まではICE車の販売が認められる格好となる。オランダとベルギー、デンマーク、ルクセンブルクの4カ国はかねて、大型車両についてもICE車の新車販売の期限を設定するよう求めていたが、ロイター通信によると、他の一部加盟国は40年までのゼロ排出を自動車メーカーに求めるのは時期尚早として反対した。
域内のトラックの平均利用年数は20年時点で14年に上っているため、CO2を排出するバス・トラックは50年以降も路上に残る可能性が高い。ベルギーの環境団体トランスポート&エンバイロメント(T&E)は、「CO2を排出するトラックが必要以上に長く路上を走り続ければ、50年に排出量を実質ゼロ化する目標の達成は不可能になる」と訴えている。[EU規制][環境ニュース]
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