英国の全国鉄道・海運・運輸労働組合(RMT)は10日、鉄道運行会社と英国の鉄道インフラを管理するネットワーク・レールが提示した賃上げ案を拒否すると発表した。今後も協議は続けるものの、5月に期限を迎える既存のストライキ指令を6カ月間延長するため、組合員による投票を行う方針だ。
鉄道運行会社を代表する鉄道業界団体レール・デリバリー・グループ(RDG)とネットワーク・レールは、昨年と今年の2年間で9%の賃上げを提案。ただ同時に、日曜出勤やネットワーク・レールの保守業務の改革など労働慣行の大幅な変更も求めている。
RMTはこれに対し、「無条件の賃金提示、雇用保障に関する合意、組合員の労働条件や労働慣行に有害な変更を課さないことを要求する」として、提示された賃上げ案は組合員の期待に沿うものではないと述べた。これを受け入れれば、定期保守の削減や安全性の低下、チケット売り場の窓口の閉鎖などで数千人の雇用が失われると主張している。さらに、このままでは労働争議が来冬まで続く恐れがあると警告したが、新たなストの日程については明らかにしなかった。
一方、RDGは「組合指導部が組合員に投票を行うことなく公正な提案を拒否したことは遺憾だ」と批判。ハーパー運輸相も「RMTは密室で決定を下すのではなく、提案を受け入れるか組合員の投票を行うべき」と述べている。RMTのミック・リンチ事務局長はこれについて、「組合員の意見を知るために広範な聞き取り調査を行った」と反論した。
なお、運輸事務職労働組合(TSSA)はこの日、組合員に対して鉄道運行会社からの提案に対する投票を行うと発表した。[労務]
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