ドイツの石油・ガス会社ウィンターシャルDEAは17日、ロシア事業から撤退すると発表した。同国での合弁事業は政府に収用された状態にあり、これ以上の継続は難しいためとしている。撤退に伴い、約53億ユーロの減損会計を行う。
ウィンターシャルDEAのマリオ・メーレン最高経営責任者(CEO)は、「ロシアのウクライナ侵攻は当社の価値観と相いれず、ロシアと欧州の協力関係は崩壊した」と指摘。ロシア政府が西側諸国の資産に制限を設け、合弁事業などに干渉していることで、事業運用が不可能になったと説明している。今後は適用される法律や規制を順守しつつ、秩序ある方法で完全撤退する方針を示した。
ウィンターシャルのロシア事業には、ロシア産天然ガスをバルト海経由で欧州に輸送するパイプライン「ノルドストリーム」の権益15.5%や、現在はドイツ政府の管理下にあるエネルギー大手SEFE(旧ガスプロム・ゲルマニア)との合弁事業WIGAトランスポートが含まれる。シベリア西部にあるユジノルスコエ(Yuzhno-Russkoye)・ガス田の権益35%と、同地域のアキモフ(Achimov)・ガス田の合弁会社の株式50%も保有する。
ウィンターシャルは、ドイツの化学大手BASFが72.7%、ルクセンブルクに本社を置くロシア系投資会社レターワン(L1)グループが27.3%をそれぞれ出資する。うちBASFは17日、ウィンターシャルのロシア事業撤退に伴い、約73億ユーロの評価損を計上すると発表した。これにより、2022年12月通期は純損失が13億7,600万ユーロとなり、前期の55億2,300万ユーロの黒字から赤字に転落する見通しだ。同社は2月24日に通期決算を発表する。
ウィンターシャルと同様にロシア事業を展開するオーストリア石油大手OMVは18日、ロシアに保有する資産については最終決定を下していないと明らかにしている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。