イングランドとウェールズで21日、国民医療制度(NHS)の救急職員が賃上げを求めストライキに踏み切った。救急隊員を含む最大1万人が参加し、NHSは命に関わる緊急時にのみ救急車を呼ぶよう警告。政府は影響緩和のため軍から人材を派遣したが、けがにつながる危険な行動を避けるよう市民に呼びかけた。
今回のストは、労働組合ユナイトとGMB、公務員労組ユニゾンが呼びかけたもので、12~24時間継続。心停止や呼吸停止など死の危機にひんした「カテゴリー1」の要請には応じるが、心臓発作や脳卒中が疑われる「カテゴリー2」に関しては、一部機関が特定の症状に対応しないことで合意していた。政府は人員不足を補うため軍から約750人を派遣したが、果たせる役割は限定的だ。
救急職員らは、インフレ率を上回る賃上げや人員不足の解消を要求。GMBは、2010年と比べ救急車の需要が77%拡大した一方、医療部門の賃金は実質17%低下したと指摘する。
バークレー保健・社会福祉相は、政府の賃上げで多くの救急隊員の給与は4%以上増え、平均4万7,000ポンドに達したと説明。さらなる賃上げは現場から資金を奪うことにつながるとしている。
なお、GMBの組合員は、28日にもストを計画している。[労務]
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