ドイツの連立政権を組む中道左派の社会民主党(SPD)と環境政党・緑の党、リベラル派の自由民主党(FDP)の3党は11日、エネルギー憲章条約から脱退することで合意したと発表した。同条約は、エネルギー企業が政策変更による損失を理由に政府を提訴することを認めるもので、気候変動対策の足かせとなっていた。
3党は「フランス、オランダ、スペイン、ポーランドと同様、エネルギー憲章条約から脱退する意向」との声明を発表。これに向けた法案を11月中に連邦議会(下院)に提出する方針を示した。
同条約は1994年に締結されたもので、調印国は50カ国超に上る。主な狙いは旧ソ連諸国のエネルギー・インフラへの投資を保護することだった。
しかし、2021年にはドイツのエネルギー大手RWEが同条約に基づき、石炭火力発電所の廃止を進めるオランダ政府を提訴。他国も気候変動政策を進めれば、こうした訴訟の対象になる恐れがあり、結果的に化石燃料保護につながるとの批判が強まった。こうした中、すでにフランスやオランダなどは同条約からの脱退を決めていた。
ポリティコによると、欧州委員会はエネルギー憲章条約を改革して維持する方針だっただけに、欧州連合(EU)主要各国の脱退は痛手となる。同委は向こう10年以内にEUに対する化石燃料プロジェクトの保護の適用を段階的に廃止する方向で他の調印国と交渉していた。EU加盟各国は16日にこの改革案を巡る採決を行うが、これが承認されるめどはまだ立っていない。[環境ニュース]
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