欧州中央銀行(ECB)は27日に政策理事会を開き、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を0.75ポイント引き上げ、2%とすることを決めた。中銀預入金利も0.75ポイント引き上げ、1.5%としている。ユーロ圏が景気後退に陥るとの懸念が高まる中での大幅な利上げには反対の声も上がっていたが、インフレ抑制を優先し、3会合連続の金融引き締めに踏み切った。
ECBは7月に11年ぶりに金利を引き上げた後、9月にも追加利上げを行った。過去3会合の利上げ幅は計2ポイントとなり、主要金利は2009年の水準に戻った。
ECBは今回、インフレ率は高止まりしたままで、今後も目標を上回る水準で推移することが予想されることから、インフレ期待を抑制する必要があると説明。インフレ率を中期目標の2%まで低下させるだめに、さらなる利上げを行う可能性にも言及した。
ユーロ圏の9月のインフレ率は9.9%と、統計開始以降で最高を記録した。中でもエネルギーが40.7%値上がりしており、これがさまざまな産業に影響を及ぼしている。ECBは供給面でのボトルネックは次第に解消に向かうものの、これが物価に反映されるまでには時間がかかるほか、ユーロ安や労働コストの上昇もインフレ要因になるとの見方を示した。
■長期資金供給オペの金利も引き上げ
ECBは併せて、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の条件を変更すると発表。このプログラムは民間銀行の融資を促すために各行に低金利で資金を貸し出すもので、コロナ禍でのデフレ抑制に貢献してきた。しかしインフレが加速する中、11月23日から同プログラムの金利を引き上げることを決めている。
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