ドイツの鉄鋼大手ザルツギッター(Salzgitter)は5日、自社の低炭素製鋼計画「SALCOS」にドイツ政府から総額10億ユーロの助成金を受け取る計画について、欧州委員会から承認を受けたと発表した。鉄鋼生産プロセスにおける水素利用を促進させる。
欧州委は今回の承認について、「SALCOS」が欧州連合(EU)の水素戦略や2050年までの炭素中立を目指す「欧州グリーンディール」の目標達成に貢献すると判断したためと説明した。
ザルツギッターは今後、連邦政府から最大7億ユーロ、同社が工場を構える北部ニーダーザクセン州から最大3億ユーロの資金援助を受ける。同社は既にこれとは別に7億2,300万ユーロの資金を承認している。
「SALCOS」では、2033年までに3段階に分け、ザルツギッターの鉄鋼生産にかかる低炭素化を実現する計画。第1段階では、ニーダーザクセン州の工場敷地内に、直接還元鉄プラント2基と電気炉3基を設置し、現行の溶鉱炉を置き換える。これにより、鉄鋼生産に必要な化石燃料の代わりに水素が使用できるようになるほか、ドイツの年間炭素排出量の約1%に相当する約800万トンの排出抑制につながるという。早ければ2025年末の稼働を予定し、粗鋼の年産能力は初期段階で約190万トンを見込む。
同社はさらに、年間約9,000トンの再生可能水素の生成に向け、設置容量100メガワットの電解槽を設置し、直接還元鉄プラントの原料として使用する方針。[環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。