英中銀イングランド銀行は26日、通貨ポンド相場が急落していることを受け、インフレ目標達成に必要なら、さらなる利上げも辞さないとの臨時声明を発表した。政府が先に、多額の借り入れを原資とする大型減税案を公表したこと受け、金融市場ではポンドの対ドル相場が記録的水準に低下している。
中銀のベイリー総裁は「金融市場の展開を注視している」とした上で、11月に予定される次回の金融政策委員会(MPC)で政府案の影響を見極める姿勢を示し、「インフレ率を中期的に持続して目標の2%に回復させるために必要な金利の変更を辞さない」としている。
クワーテング財務相は23日、高額所得者の税率引き下げや法人税増税の撤回など、過去50年で最大規模の減税案を打ち出し、借り入れを大幅に拡大する方針を示した。これを受け、金融市場ではポンド相場が急下落。しかし、同相は27日に今後さらなる減税を打ち出すと発言したため、週明けの26日にはポンドの対ドル相場が過去最低の1.032ドルにまで低下した。相場はその後やや挽回し、27日時点で1.08ドル超で推移している。
ポンド安は輸入品価格の上昇につながることから、インフレがさらに加速するとの懸念が強まっている。このため、市場では中銀が今後、大幅な利上げを実施するとの見方が強い。
こうした中、英国の住宅金融各社は、住宅ローン契約の撤回や新規融資の受け付け停止に動いている。住宅金融大手ハリファックスは金利の低い一部住宅ローンの受け付けを一時停止。金融大手ヴァージン・マネーと住宅金融会社スキップトン・ビルディング・ソサエティーは、新規住宅ローンの受け付けを停止している。
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