欧州中央銀行(ECB)は20日、社債の購入で脱炭素化を目指すために導入する措置の詳細を発表した。各企業に炭素排出量の実績や目標、情報開示に基づいて「気候スコア」を設定し、これに従って保有する社債で炭素排出量の少ない企業の割合を増やしていく。これにより気候変動関連の金融リスクの影響を低減するとともに、欧州連合(EU)の目標に沿ったグリーン経済への移行を支援する。
気候スコアは、過去の実績、今後の目標、情報開示を基準にする。過去の実績では、各企業の排出量の実績を同業他社などと比較してスコアを決める。今後の目標では、温室効果ガス排出量の削減目標で、野心的な脱炭素化目標を掲げる企業に高いスコアを与える。情報開示では、排出量の報告の質が高い企業を評価するもので、情報開示の改善を促すことも狙う。各企業の気候スコアの数値は開示しない。また気候スコアの算出方法は定期的に見直し、データや規制、リスク評価能力などの発展を考慮して変える可能性もあるとしている。
気候スコアの適用は、10月1日以降に買い入れる全ての社債が対象。スコアの高い企業を優遇するが、低い企業でも購入対象から除外することはないという。また、購入する社債の全体量は引き続き金融政策だけに基づいて決定し、買い入れの適格基準も現時点では変更しない。
なお中銀は、2023年第1四半期(1~3月)からは保有する社債の気候関連の情報を開示し、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」との整合性に向けた進捗(しんちょく)状況を定期的に報告することも明らかにしている。
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