欧州中央銀行(ECB)は8日に政策理事会を開き、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を0.75ポイント引き上げ、1.25%とすることを決めた。中銀預入金利も0.75ポイント引き上げ、0.75%としている。ユーロ圏が景気後退に向かうとの懸念がある中でインフレ抑制を優先し、さらなる利上げを行う見方を示した。
ECBは7月に11年ぶりに金利を引き上げたが、今回の引き上げ幅は前回の0.5ポイントを上回った。ECBは利上げについて「インフレ率が依然として高止まりしており、長期にわたり目標を上回って推移する可能性があるため」と説明。需要を抑制し、インフレ期待が持続的に上昇するリスクを回避するため、今後数回の会合で金利をさらに引き上げる見通しを示した。
ECBのラガルド総裁によれば、0.75ポイントの引き上げは全会一致の決定だったという。ただし、今後の利上げについて、この引き上げ幅が「基準」となるものではないと述べている。
ユーロ圏の8月のインフレ率は年率で9.1%(速報値)と前月から加速し、統計開始以降で最高を記録した。ECBは物価上昇圧力が引き続き強いため、短期的にはさらにインフレが加速する可能性があると指摘。ただし、インフレ要因が時間とともに弱まり、金融政策の正常化が経済や価格に浸透するにつれて、インフレ率は低下すると予想している。
インフレ率の予測は前回から大幅に引き上げ、今年は8.1%と1.3ポイント上方修正し、来年は5.5%、2024年は2.3%とした。ユーロ圏の域内総生産(GDP)伸び率の見通しについては下方修正し、今年は3.1%、来年は0.9%。24年は1.9%と予想している。
ラガルド総裁は「世界経済の減速を背景に、特に短期的に成長への下振れリスクがある」として、年末にかけて景気は大幅に減速するとの見方を示した。ただ、ECBは、今年から来年第1四半期(1~3月)にかけて経済は停滞するとしたものの、景気が後退するとは予想していない。
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