ロシアとドイツをバルト海経由で結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム1」が11日、定期保守作業のため稼働を停止した。各国の政府や市場、企業の間では、プーチン露大統領がこれを機に欧州へのガス供給を完全に停止するとの懸念が浮上している。運営会社の発表を元に、ロイター通信などが伝えた。
今回の保守作業は21日までの予定。パイプラインは11日午前6時(中央ヨーロッパ標準時)に稼働を停止し、数時間後にガスの輸送量はゼロになった。
ノルドストリーム1は、年間550億立方メートルの天然ガスを輸送する。同パイプラインの運営会社は6月、修理済み関連設備の納品が遅れていることを理由に、ガス供給量を容量の約40%に削減した。
設備の修理はドイツの総合電機大手シーメンスのカナダ工場で行われていたが、対露制裁対象であるため修理後もカナダで足止めされていた。だが同国政府は10日、特例として設備の輸出を許可した。
欧州各国は現在、冬に備えて天然ガスの貯蔵量拡大に努めているだけに、ロシアが保守作業後もパイプラインの稼働再開を遅らせ、揺さぶりをかけてくる恐れが指摘されている。
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