ドイツの経済・気候保護省は23日、ロシアからのガス供給削減を受けて、ガス供給安定化規則に基づいたガス供給に関する3段階の緊急対策のうち第2段階の「警戒」を発動した。ただし、エネルギー会社がコストの上昇分を顧客に転嫁できるようにする法案の制定は保留している。
2017年に成立したガス供給安定化規則では、「早期警告」、「警戒」、「緊急」の3段階に分けて条件を設定し、それが満たされれば政府が各段階を発動することになっている。政府は3月末、将来的なロシアからの天然ガス供給の中断または停止に備えて第1段階を発動し、供給状況の監視を続けていた。第3段階では供給に政府が介入するが、第2段階では供給の不足に市場で対応する。
ロシアの天然ガス世界最大手ガスプロムは先に、ロシアとドイツをバルト海経由で結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム1」によるガス供給量を容量の約40%に削減した。関連設備の修理作業の遅れを理由としている。
ハーベック副首相兼経済・気候保護相は、「ロシアのガス供給削減の動きにより、追加措置がなければ十分なガス備蓄を確保することはほぼ不可能になった」と指摘。パイプラインの修理作業が終わっても、通常の供給量には戻らない可能性があるとの懸念を示した。
第2段階により、政府はガス貯蔵施設へのガス注入を確保するため、ドイツ復興金融公庫(KfW)による融資枠を提供する。また、工業部門のガス消費の節約を促し、節約分を備蓄に回せるように、今夏にガスの入札モデルを開始する。
政府はガスの貯蔵施設での備蓄を急いでいるが、現在は貯蔵容量の58%の水準となっている。エネルギー各社はこれを11月までに90%とする政府の目標を達成するため、備蓄量を積み上げている。
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