欧州中央銀行(ECB)は4日開いた金融政策委員会(MPC)で、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を過去最低の1%に据え置くことを決めた。大方の予想通りで、置きはこれで4カ月連続となる。
マリオ・ドラギ総裁はMPC後の記者会見で、「ユーロ圏経済の先行きは下振れリスクにさらされている」と述べ、債務危機の再燃や実体経済への波及、商品価格のさらなる上昇などをリスクとして挙げた。インフレ率については、エネルギー価格や間接税の引き上げなど物価上昇圧力もある一方、予想以上の経済不振が下落圧力になっていると述べた。
先に発表された3月のユーロ圏のインフレ率は2.6%と、前月からやや減速したものの、原油価格の高騰を背景にECBが目標とする2%を依然として上回っている。ドラギ総裁は、インフレ率が年内は2%を越える水準で推移するが、来年前半には2%を割り込むとの見方を示している。
ユーロ圏内ではスペイン、ポルトガル、ギリシャなど南欧諸国がリセッション(景気後退)入りする一方、原動力のドイツ経済は好調で格差が広がりつつある。こうした中、ドイツ連邦銀行はインフレ圧力に懸念を示すと同時に、危機対応型の長期資金供給オペレーションからの「出口戦略」を模索するようECBに求めている。
ECBは今回、下限の中銀預金金利と上限金利の限界貸出金利も共に据え置き、0.25%、1.75%とした。
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