英政府は11日、自動車燃料税の引き下げが給油価格に反映されていない疑いがあるとして、英競争・市場局(CMA)に自動車燃料市場の調査を依頼した。英国ではガソリン・ディーゼル価格が過去最高水準に達している。
政府は3月、ロシアのウクライナ侵攻を受けた自動車燃料価格の高騰を背景に、ガソリン・ディーゼルにかかる燃料税を来年3月まで1リットル当たり5ペンス引き下げると発表した。しかし、その後もガソリン・ディーゼル価格は上昇し続けている。
ロードサービス・自動車保険大手RACによると、5月のガソリン価格は月初の1リットル当たり162.87ペンスから、月末には174.02ペンスへと上昇。値上がり幅は3月に記録した過去最大の11.61ペンスに次ぐ水準だった。平均的な55リットルのタンクを満タンにした場合の価格は、ガソリンで100.27ポンド、ディーゼルで103.43ポンドに達している。
こうした事態を受け、クワルテング・ビジネス・エネルギー・産業戦略相はCMAに宛てた書簡で、「1リットル当たり5ペンスの減税効果が消費者に還元されているかどうか」について調査を依頼。また、給油所での価格に地域的なばらつきがあるとして、その理由も調べるよう求めている。
ガソリン小売協会は、給油所は政府の減税分を顧客に還元したものの、燃料の仕入れ価格はその後も上昇し続けており、「極めて厳しい利益率で運営している」と説明。ロードサービスを手掛ける英国の自動車協会(AA)は、給油価格の上昇を緩和するためには、燃料税を1リットル当たり10ペンス引き下げる必要があると指摘している。
RACによると、現在のレギュラーガソリン価格のうち、燃料税が占める比率は29%。このほか、仕入れコストが45%、付加価値税(VAT)が17%、混合を義務付けられているバイオ燃料の費用が7%となっており、小売業者の利益は2%だという。
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