欧州中央銀行(ECB)は9日に政策理事会を開き、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を過去最低のゼロ%に据え置くことを決めた。中銀預入金利もマイナス0.5%で維持している。ただ、従来の資産購入プログラムを7月1日に終了し、次回7月の政策理事会では0.25ポイントの利上げを行うと予告。インフレ加速を背景に、11年ぶりの利上げに踏み切る方針を示した。
ECBはかねて、第3四半期(7~9月)に資産購入プログラムを終了するとしていた。同行は今回、7月1日に買い入れを終了するとした上で、その後も必要な限り、金利の再投資を長期的に続けるとしている。
政策金利については、前回の政策理事会で資産購入プログラムの終了後しばらくしてから徐々に調整するとしていた。ECBは今回、7月21日に予定される次回政策理事会で金利を0.25ポイント引き上げると予告。その後、9月に再び利上げを行う方針も明らかにした。9月の利上げ幅は、その時点で中期インフレ見通しが高止まりまたは加速していれば、7月を上回る規模になるとしている。
ECBのラガルド総裁は「インフレ率は好ましくない高水準にあり、今後も当面はECBの目標を上回り続ける」との見方を示している。
ユーロ圏の5月のインフレ率(速報値)は8.1%と、4月の7.4%からさらに加速し、統計開始以降の最高を更新している。
ECBは、2016年3月に市場介入金利を、中銀預入金利を19年9月に、それぞれ現行水準に引き下げて以来、据え置きを続けてきた。ECBが最後に利上げを行ったのは11年7月。
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