欧州連合(EU)加盟各国と欧州議会は13日、域内企業のサイバーセキュリティー基準を厳格化する法案で暫定的に合意した。エネルギーや運輸、金融、デジタル、医療機器など幅広い分野の大手企業を対象に、自社のサイバーセキュリティー・リスクの評価や報告、対策を義務付け、違反企業には世界売上高の最大2%の罰金を科す内容となっている。
加盟各国と欧州議会が合意したのは、「EU域内共通の高度サイバーセキュリティー措置に関する指令」案。欧州委が2020年12月に提案し、両者間の交渉が行われてきた。同指令案は、16年に導入された「ネットワークと情報システムのセキュリティーに関する指令(NIS指令)」を、デジタル化の進展やサイバー攻撃の増加を受けて見直されたもので、通称「NIS2指令」と呼ばれている。
「NIS2指令」では対象分野を大幅に拡大。公共電子通信サービスやデジタル・サービス、排水・廃棄物管理、郵便・宅配サービス、行政のほか、化学品や食品、医療機器、電子機器、機械、輸送機器といった重要製品の製造企業が追加された。
対象企業にはより厳格なサイバーセキュリティー要件を義務付け、違反企業には罰金を科すだけでなく上級管理職の責任を追及する。
また、欧州ネットワーク・情報セキュリティー機関(ENISA)が重要な供給網のリスク評価を実施する。
「NIS2指令」案は、加盟各国と欧州議会での正式な承認を経て官報に公示され、その20日後に施行される。加盟各国はその後、21カ月以内にこれを国内法化する必要がある。[EU規制]
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