欧州委員会と欧州連合(EU)の水素産業から成る「欧州クリーン水素同盟」は5日、水素の電解装置の製造能力を2025年までに10倍に拡大する方針を打ち出した。EUはかねて気候変動対策の一環としてクリーン水素開発に取り組んでいるが、ロシアのウクライナ侵攻が続く中で代替燃料として水素の重要性が高まっており、これを受けた措置。
欧州委のブルトン域内市場・産業・デジタル単一市場担当委員はこの日、水素電解装置メーカーや業界団体のトップらと会談し、共同宣言を発表。この中で、25年までに域内メーカーの電解装置の製造能力を現在の10倍の17.5ギガワット相当に増やす目標を打ち出した。欧州委はこれを支援するため、規制枠組みの整備や資金調達の支援などに取り組むとしている。
共同宣言には、欧州委と水素業界団体ハイドロジェン・ヨーロッパのほか、独自動車部品大手ロバート・ボッシュや、ドイツの総合電機大手シーメンスからスピンオフ(事業の分離・独立)したシーメンス・エナジーなど20社が署名している。
欧州委は20年7月に域内の水素産業と「欧州クリーン水素同盟」を結成。50年までに気候中立を実現する目標に向け、30年までに再生可能エネルギー由来の電力を用いた水素の大規模生産を実現させるとしていた。
また、30年までにロシアの化石燃料への依存から脱却することを目指した戦略「リパワーEU」の中では、同年までに再生可能エネルギー由来の電力を用いた水素生産能力を年1,000万トンに拡大する目標を掲げている。[環境ニュース]
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