欧州中央銀行(ECB)は14日に政策理事会を開き、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を過去最低のゼロ%に据え置くことを決めた。中銀預入金利もマイナス0.5%で維持している。一方、従来の資産購入プログラムについては、第3四半期(7~9月)で終了する方針を確認。ロシアのウクライナ侵攻を受けた物価高騰と先行き不透明感に懸念を示している。
ECBは3月の政策理事会で、資産購入プログラムの買い入れ額を見直し、4月は400億ユーロ、5月は300億ユーロ、6月は200億ユーロとすると発表。予定より早く縮小し、第3四半期で終了する方針を示唆した。今回の会合では、その後に得られた情報によりこうした判断が補強されたとして、方針を維持している。
金利については、資産購入プログラムが終了した後しばらくしてから、徐々に調整すると説明。インフレ率が「予測期間の終わりより十分前に」目標の2%に達し、「残りの予測期間中も持続的に」この水準にとどまるとともに、中期的に2%で安定すると判断されるまで、現行水準を保つ方針を維持した。
なお、2020年3月に設けた「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」による買い入れは今年3月末で終了。満期到来の元本は、少なくとも24年末まで再投資を続けるとしている。
ECBのラガルド総裁は、ロシアのウクライナ侵攻で経済見通しの下振れリスクが大幅に高まっていると指摘。インフレ率は、エネルギー価格の高騰が主な要因となり向こう数カ月は高い水準で推移するとみている。強い先行き不透明感を背景に、金融政策は選択的かつ緩やかに、柔軟性を持って進めるとしている。
ユーロ圏の3月のインフレ率(速報値)は7.5%と、2月の5.9%からさらに加速し、統計開始以降の最高を更新した。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。