ロシアとウクライナの停戦交渉が29日、イスタンブールで行われた。トルコのエルドアン大統領が仲介役を務め、両国の代表者や、プーチン露大統領と近い関係にあるとされる実業家のロマン・アブラモビッチ氏らが出席。ロシアがウクライナの首都キエフなどでの軍事活動縮小を発表するなど、進展が見られた。BBC電子版などが伝えた。
交渉に参加したロシアのフォーミン国防副大臣は記者会見で、「相互の信頼を深め、さらなる交渉と合意締結に必要な条件を整えるため」、ロシア国防省はキエフと北部チェルニーヒウ(Chernihiv)での軍事活動を大幅に縮小することを決定したと説明した。
一方、ウクライナの交渉団は、自国の安全が保障されることを条件に、北大西洋条約機構(NATO)に加盟しない「中立化」を受け入れると明らかにした。ウクライナの安全を保障する国としては、ポーランドやイスラエル、トルコ、カナダが候補に挙がるとみられている。
ウクライナ側はまた、ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島の帰属について、完全に停戦した場合に15年間の協議期間を設けることも条件として提示した。
今回の交渉を仲介したトルコは、交渉の結果について侵攻開始から「最も目覚ましい進展」があったと評価した。
■アブラモビッチ氏に毒物か
停戦交渉に中立的な立場で参加しているとみられるアブラモビッチ氏は、3日にウクライナの首都キエフで行われた会合の後、毒物によるとみられる中毒症状に陥っていた。同氏の関係筋の話として、ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。
刺すような目の痛みや、皮膚がむけるなどの症状が出たという。ウクライナ側代表団の2人も同様の症状を訴えた。いずれも現在は回復している。
停戦交渉を妨害しようとしたロシア強硬派による毒物攻撃との見方も出ている。しかし、ロシア大統領府のペスコフ報道官は報道を否定。「情報戦の一つ」と一蹴している。
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