自動車製造取引業者協会(SMMT)は27日、2021年の英国の乗用車生産台数が85万9,575台となり、前年比6.7%減少したと発表した。世界的な半導体の供給不足やホンダのイングランド工場閉鎖などが大きく影響し、1956年以降で最低を記録した。SMMTは、今年は部品の供給問題が緩和に向かうほか、電気自動車(EV)の売り上げも好調なことから、生産台数は100万台超に持ち直すと予測する。
マイク・ホーズ最高経営責任者(CEO)はオンライン記者会見で「21年は自動車業界にとって、戦後最もチャレンジングな年となった」と指摘。最大の要因として半導体の供給不足を挙げた。同時に、新型コロナウイルスの感染拡大で各量産車メーカーがスタッフ不足に陥り、ショールームの閉鎖や断続的な生産の縮小または停止を余儀なくされたと説明した。今年については、部品の供給不足は完全に解消されるわけではないとしつつも、徐々に緩和されるとの見通しを示した。さらに、ホンダが昨年7月末にイングランド南部スウィンドン工場を閉鎖したことも響いたと指摘。これにより「潜在的に約20万台分の生産損失につながった」とみている。
一方で、EVの生産台数が前年比72%増加し、大きな伸びを見せたことが「業界にポジティブな見通しを与えている」と強調。加えて、英国の欧州連合(EU)離脱後に結ばれた英・EU貿易協力協定(TCA)により投資が解き放たれたことを受け、既存工場の生産を強化しつつ、ゼロエミッション車(ZEV)の新たなモデルを投入することで、今年の生産台数は2割ほど拡大すると予想する。
■メーカー別はトヨタ除き不振
21年の生産台数のうち、国内向けは15万3,749台と10.6%減少。全体の8割超を占める輸出向けは5.8%減って70万5,826台だった。
輸出先別では、全体の55%を占めるEU向けが3%落ち込んだ。2番目に大きな市場の米国(シェアは16.8%)は10.5%減、日本(同2.4%)は36.1%減といずれも2桁台の落ち込みを示した。一方、中国(同8.1%)は0.6%増えている。
メーカー別では、インドの自動車大手タタ・モーターズ傘下の英高級車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)が9.6%減少。欧米自動車大手ステランティス傘下のボクソールは14.9%縮小している。半面、ドイツの高級車BMW傘下のミニは6.3%拡大した。日系メーカーでは、日産は16.7%、ホンダは21.5%それぞれ落ち込んだ。一方、トヨタ自動車は7.4%増えている。
12月に限ると、乗用車生産台数は全体で1年前から12.7%減少し6万2,310台。国内向けは4.1%、輸出向けは15.4%それぞれ縮小した。
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