英中銀イングランド銀行は16日、15日に開いた金融政策委員会(MPC)で政策金利を史上最低の0.1%から0.15ポイント引き上げ、0.25%とすることを決めたと発表した。2018年8月以来、3年4カ月ぶりの利上げで、欧米の主要中銀が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降で利上げに踏み切るのは初めて。インフレ率が10年ぶりの高水準となる中、高騰する物価の抑制を目指す。
英国ではエネルギー価格の高騰と世界的なサプライチェーン(調達・供給網)の混乱を背景に、11月のインフレ率が5.1%に達しており、インフレによる圧力が新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」による経済へのリスクを上回ると判断した。中銀は、金融政策の変更とそれがインフレに与える影響には時間的にずれがあるため、適切な政策の判断には、一過性の要因よりもインフレ期待を含めた中期的なインフレ見通しに常に重点を置いていると説明している。
議事録によると、金融政策委員9人のうち利上げに反対したのはシルバナ・テンレイロ委員だけだった。
中銀は金融資産購入による量的緩和策の規模は8,950億ポンドで維持した。量的緩和策については、社債の購入規模と英国債の購入規模の維持は、全員が支持した。
中銀はインフレ率について、コストや物価の上昇を示す指標が歴史的な高水準にあるとして、来年はさらに上昇すると予想。冬の間は5%前後で推移し、来年4月に6%前後でピークに達した後、来年後半には低下するとの見方を示した。
国内総生産(GDP)については、第4四半期(10~12月)の伸び率を0.6%と、11月時点の予想から0.4ポイント引き下げた。これにより当期のGDPは、パンデミック前の水準を約1.5%下回るとみている。
中銀は来年2月の金融政策報告書に向けて、今後の予測の一環としてオミクロン株の経済への影響に関して新たに現れる証拠も含めて動向を注視する方針。関連するデータが出そろえば、それを踏まえて中期的なインフレに対するリスクのバランスについて評価を下すと説明している。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。