欧州中央銀行(ECB)は18日、ユーロ圏内の各銀行に対し、来年3~7月に気候変動リスクに対するストレステスト(健全性審査)を実施すると発表した。環境関連での金融業界の脆弱(ぜいじゃく)性や業界内の優良事例、今後の課題などを明確にすることを目指す。
この「気候ストレステスト」では、異常気象による銀行への影響のほか、新しい環境規制による急激な炭素価格の上昇や汚染企業が廃業に追い込まれる可能性のある環境政策が銀行の事業に与える影響を測定する。
各行に対しては、炭素集約型産業からの収入への依存度や融資先の二酸化炭素(CO2)排出量の測定を求める。炭素価格の急上昇による影響では、2024年までに1トン当たり100ドル上昇すると仮定して、3年間にわたり影響を評価する必要がある。この仮定は、各国の中央銀行や規制当局が策定したシナリオよりも数年早い上昇を想定している。
また長期では、今後30年間の炭素中立化への対応を調べるため、各行は30年間のバランスシートの変化や炭素中立経済への移行で直面する損失も予測しなければならない。これには洪水や干ばつなど自然災害によるリスク評価も含まれる。
ECBは気候ストレステストについて、その結果により銀行に自己資本の積み増しなどを求めることはないものの、リスクを把握できない銀行は今後高いハードルに直面する可能性があると指摘している。[環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。