英国の金融大手ロイズ・バンキング・グループは、向こう10年間で5万戸の賃貸物件の購入を計画している。7月に立ち上げた賃貸住宅事業のシトラ・リビングを通じたもので、低金利で圧迫されている融資事業以外に収入源を多様化する動きの一環という。入手した内部資料を元に、フィナンシャル・タイムズが19日伝えた。
これによると、シトラは2025年末までに1万戸を購入し、30年にはこれを5万戸に拡大する戦略目標を定めているという。1万戸の賃貸住宅を取得する段階で総資産は約40億ポンドとなり、3億ポンド程度の税引き前利益を生み出せると試算している。ロイズはこれまでシトラについて明確な長期目標は明らかにせず、「今後数年間で英国の賃貸市場で徐々に住宅在庫を増やしていくことを目指す」として、慎重に取り組む方針を示していた。
ロイズは、住宅ローンの貸し出しなどで培った不動産市場に対する知識が強みになると考え、住宅保険や頭金用ローンなど住宅関連の事業と組み合わせた営業も検討しているとされる。
英国では賃貸住宅市場に大手企業の参入が相次いでいる。英保険大手リーガル・アンド・ゼネラル(L&G)や英保険大手プルーデンシャル傘下の資産運用会社M&Gインベストメンツが賃貸住宅に投資しているほか、英小売り大手ジョン・ルイスは、店舗などの土地を数千戸の賃貸住宅に転換する計画を進めている。
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