吸入式医薬品に強みを持つ英国の製薬ベクチュラは12日、米国のたばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)からの買収提案を受け入れるよう株主に推奨した。提示額は約11億ポンド。PMIは、米投資会社カーライル・グループとベクチュラの買収を巡って争奪戦を繰り広げていた。
カーライルは10日、6日に提示していたベクチュラ株1株当たり155ペンスから引き上げず、最終的な提示額とすると表明。PMIは8日、これを上回る165ペンスを提示しており、英国の買収委員会(テークオーバーパネル)の枠組みに基づき、同社は12日午後5時までに提案額の維持または変更を判断する必要があったが、最終的に据え置いた。
ベクチュラはPMIの最終提示額について「公正かつ合理的」なものと評価。PMIの豊富な資金力のほか、ベクチュラが計画する研究開発(R&D)への投資拡大や、同社を独立した事業部門として運営する方針により、広範な利害関係者が恩恵を受けることができると説明した。
PMIは買収成立のためにベクチュラの株式合わせて50%以上に出資する株主から支持を取り付ける必要がある。PMIによるベクチュラ買収計画は、かねて科学や健康関連の団体から倫理性などを疑問視する声が上がっている。
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