欧州中央銀行(ECB)は22日に政策理事会を開き、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を過去最低のゼロ%に据え置くことを決めた。中銀預入金利もマイナス0.5%で維持。新型コロナウイルス対策の規制緩和に伴う経済回復を受けて、昨年3月に設けた「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」についても、1兆8,500億ユーロの購入枠を維持する方針を示した。
ECBは8日、金融政策の戦略見直し結果を公表し、中期インフレ目標を従来の2%弱から2%に改定。併せて、この目標からの短期的な逸脱も認める柔軟性を示し、特に、近年のように低金利とインフレ期待の低迷が続いている時期には、一時的に2%超を目指すこともあり得るとしていた。
ECBは今回、この新戦略に基づき、インフレ目標が達成されるまで「粘り強く」金融緩和策を続ける方針を示した。これに向け、金融政策の指針となる「フォワードガイダンス」を修正し、インフレ率が予測期間を通じて「持続的に」2%で安定するめどが立つまで、主要政策金利を現行以下の水準に維持するとした。また、PEPPについても、2022年3月末まで継続する方針をあらためて示している。
ECBのラガルド総裁はこの日の記者会見で、ユーロ圏経済は第3四半期(7~9月)に力強い回復が見込まれるものの、インフレ率は伸び悩んでいると指摘。「パンデミック(世界的大流行)の物価への影響が解消するには、まだしばらくかかる」との見方を示した。特に、新型コロナウイルスのインド由来の変異株「デルタ株」の拡大が「見通しを不透明にしている」と話している。
同総裁によると、新ガイダンスを巡る決定は全会一致ではなかったものの、大多数の理事がこれを支持した。
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